2016年12月12日

PS4『人喰いの大鷲トリコ』

PS4『人喰いの大鷲トリコ』
一応クリアしました。いやーもうまさに上田文人作品としか言い様がない。

背景や一緒に冒険するトリコのグラフィックは素晴らしいし、アクションアドベンチャーでよくある崩れ落ちる橋などの細かさは目を見張る物がある。
そして何よりの肝である、トリコの動物感というか、別の生物がそこに居る感じというのはとてもよく表現されている。

tori 01.jpg

ただゲームプレイの部分というか、プレイフィールは今年だけでなくここ数年で遊んだゲームの中でも最低ランク。
まずカメラの問題。
どうしてもトリコが大きいキャラクタなので、狭い通路に入ると画面を覆ってしまうというのもあるし、謎のカメラ誘導というか自分が向けた方向に固定されず視点が強制的に戻されてしまう場面が多数。
しかもカメラの反応がクイックでは無い(重厚感を出すためあえてやっているのだろうが)ので、常にぐんにょりとした視点移動に加えて安定しないfpsが3D酔いを誘う。


そして主人公の少年のモーションの酷さ。
シリーズで見れば最初の『ICO』からなので今更だが、それにも増して本作の少年のモーションはヤバい。
常にふわふわ・バタバタとしていて、少年の肘と膝の関節が壊れているのでは?というぐらいにグニャグニャしているかと思えば、手足を目にも留まらぬ速さでバタつかせたりとクリーチャー感が凄い。
違うゲームにゲストキャラで呼ばれたら、真っ先にプレイヤーは彼の頭部をショットガンでぶち抜くに違いない、まるで生命の危機を感じた時の虫を参考にしたかのようなCreepyなモーション。
当然ながら、そんなバタバタとした動きしか出来ないので、動かしている快感は皆無。

大きなトリコに登る事も出来るし、それはゲーム中に何度も行う動作なのに『ワンダと巨像』からそのまま持ってきたかのような、相変わらず登る方向とコントローラーの操作が連動していないような感覚がある。
トリコの背中に登りたいのに、腹部へ潜り込んでしまうように。


そしてトリコ自身の問題。
あまりにも言うことをきかない場面が多すぎる。元々野生動物なのだからしょうがないとしても、その当たり前を許容出来るかどうか。
一応行く方向やジャンプなどの指示が出来るのだが、その指示を聞いているのかどうかの判断がそもそも難しい。

何年か前にテレビ番組で『クイズ・ミリオネア』という番組がありまして、現在は『ゲームセンターCX』でパクリ企画をやっているアレ。
で、その番組で印象的なのは、解答者がクイズに答えた後に司会のみのもんたが正解か否かを発表するまで長い時間溜めるという演出。
本作はそんな感じ。

この手のアクションアドベンチャーに慣れている人なら、画面やオブジェクトの配置を見れば一瞬でわかるような簡単なパズルしか用意されていない本作。
答えはすぐにわかるのに、プレイヤーが解答をした(トリコに指示)後にトリコがその動作を起こすかどうかまでの溜めが長い。
しかもクイズとは違って、間違っていた場合トリコは何もアクションをせず無視されるし、解答があっているのにその行動を起こさなかったりと、まるで耳の遠いジジイが司会のクイズ・ミリオネアをやっているかのような感じ。

またトリコの行動に煩わしさを感じる一因として、本作でのトリコは正解のルートへ向かう(自主的もしくは指示を受ける)行動をし始めたら、以降チェックポイントとなる場所まで間違った行動は絶対にしないように決められた動きのみをする仕様がある。
トリコは決して間違った方向へと少年を誘導する事は無いし、間違ったルートへの指示は無視するのである。
なので、少々ひねくれた見方になるが、プレイヤーから見ればトリコはこのゲーム側というかパズルの製作者側の視点を持ってしまっている、いわば"解答を知っているキャラクタ"になってしまっており、そのキャラクタがプレイヤーを無視し正解へと向かう行動をしないという事に苛立ちを感じるなという方が無理がある。

そして後にパッチで改善される可能性もあるが、トリコの動きがバグるとゲームの仕様上、正解か不正解かわからないまま放置されるという問題が残っている。
私の場合、クリアまでに3度トリコがバグった。
1度はトリコが柱にスタックした後に、首が360度周り始めたので恐怖に悶ながらメニューからタイトルに戻り再読込で治ったのだが、もう2つは完全に詰んだようにしか見えない状態になっておりまいった。どちらも再読込をして再度指示をすれば数分で解ける箇所であったにも関わらず、10分以上トリコに無視され続けるという仕打ちを受けた。


ドイヒーなカメラ、見た目も操作性も酷い少年のモーション、ワンダ譲りのクライミング操作、耳が遠くボケた振りをして人を困らせるジジイ感のあるトリコという4つの化学反応により、近年稀に見るほどにゲームプレイ部分の質が悪い。

tori 02.jpg

でもなぁ。心に残る物語なんだコレが。
ままならないトリコと一緒に過ごした時間があったからこそのラスト。
初回版に付いてきた小冊子で、上田氏が「ゲームならではの表現を目指した」なんてつきなみな発言をしているけれども、まさに今までプレイヤーが行ってきた操作が最後の一瞬に繋がる瞬間はゲームとしてあまりにも美しい。
本作はもう二度と起動する気は無いし、今後十数年後に新たなハードなどでリマスターなどが出ても絶対に購入しないと断言出来るが、ラスト数十分の映像は一生記憶に残り続けるだろう。
トリコはそんなゲームだった。
posted by murutori at 19:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする